歳と才の違いとは?使い分けできていますか?
みまさんは年齢を書くときに、
《27歳》もしくは《27才》の
どちらを使っていますか?
《歳》と《才》どちらでもいいんじゃないかと
考えがちですが、
実は年齢を書く時には《歳》を使うのが本来の使い方なのです。
《才》は画数の多い《歳》の字の代わりに
音の同じ漢字として代用されているだけですから、
これからは書類等に書く時には
必ず《歳》の字を使いましょうね。
それではこの2つの漢字、
もともとはどういう意味を持っているのでしょうか。
《歳》と《才》の違いについて少し調べてみました。
《歳》について
〔漢和辞典〕で調べてみると
- とし(年) ②としどし(毎年)
③一年間 ④よわい(齢)、年齢、生涯
⑤つきひ、年限 ⑥みのり(豊作) ⑦木星
〔国語辞典〕で調べてみると
①(特定の)一か年
②時間の経過(年齢を数えるときにも用いられる)
どちらもほとんど『年』に関連する結果がでてきます。
それもそのはずで、
『年』と『歳』は〔とし〕を表すときには
同じ意味で用いられています。
では、〔漢和辞典〕で調べたときに出てきた
⑥みのり(豊作)とはどんな関わりがあるのでしょうか。
〔とし〕とは『穀物』を意味した言葉でした。
一回の収穫に一年を要することから
〔とし〕という言葉が『一年』を
意味するようになったのです。
また、⑦木星は、木星の軌道を十二次に分けて
その一次を行く間を〔一歳〕としたとする説もあることから、
〔歳〕の意味の中に木星が入ることになったようです。
以上のことから、
《歳》の意味はそのほとんどが
『年』に関連しているといえますね。
《歳》の漢字が使われている熟語にはこのようなものがあります。
【歳入】 一年間の収入 対義語
【歳出】 一年間の支出
【歳費】 一年間の必要な費用
(日本独特の使い方として)衆参両院議員の一年間の手当
【歳月】 としつき 年月(ねんげつ)
【歳時】 ①とき 時間 歳月
②年と時 (年は一年、時は四時(春・夏・秋・冬)を表す
年中のおりおり、季節
【歳時記】 一年中の季節に応じて
自然・人事などの事柄を集めしるした本
【歳末】 年の暮れ
【歳暮】 ①年の暮れ
②老年のたとえ
③(日本独特の使い方として)年末の贈り物(おせいぼ)
《才》について
〔漢和辞典〕で調べると
- 力、はたらき、学問、才能、生まれつきの資質
- はたらきのある人、賢人、知者
③はかる、はかり定める
このほかに、日本独特の使い方として
㋐年齢の〈歳〉の略字として用いる
㋑ますめ とあります。
〔国語辞典〕で調べると
【1】①木材の取引の単位
②船の積み荷、石材の単位
③容積の単位 ④織物で一平方フィート
【2】俗に年齢の〈歳〉の代用字
【3】何かをするときに目立って表れる頭の回転の速さと対処の適切さ
という結果になり、
年齢を表すときに使う《才》という漢字は、
《歳》の略字や代用字であることがわかりますね。
元来は『才能』を表したり、
『単位』であったりしたのですね。
《才》の漢字が使われている熟語にはこのようなものがあります。
【才能】 物事を理解して処理する頭のはたらきと能力
【才気】 知恵のはたらき、すばらしい頭のはたらき
【才女】 才気がある女、賢い女
【才媛】 才気のある女、詩や文などにすぐれている女
【才人】 知恵のすぐれた人、いろいろな面にすぐれた才能を発揮する人
小器用な人
【才色】 すぐれた才能と美しい顔
【天才】 ①普通の人にはまねできないすぐれた才能、またはそれを生まれつき持っている人 ②天から与えられた才能 ③平均をはるかに超えて創造の先天的能力を持つ人
【秀才】 ①昔、中国で官吏の登用試験に合格した人の意味 ②頭がよく、学校の成績がいい人
【鈍才】 一つのことに固執したり時間がかかりすぎたりして何でもはきはきと処理しかねること(人)
【まとめ】と【ちょっとついでに】
【まとめ】
《才》は年齢を表すときの《歳》の略字、
代用字で本来『とし』の意味はありません。
書類等に年齢を書く時には必ず《歳》を用いるようにしましょう。
【ちょっとついでに】
『万歳』と書いてあると一般的には
『ばんざい』と読みますよね。
これは『まんざい』とも読めるのです。
またこの『まんざい』と読む『万歳』が変化したものが
『漫才(まんざい)』なのですよ。
それではそれぞれの意味も書いておきましょう。
★『万歳(ばんざい)』
【1】①いつまでも長く生き、長く栄えること ②めでたいこと、喜ぶべきこと
③どうしてもしようがないこと、おてあげ、最後
【2】(両手を勢いよく上げる動作を伴って)祝福の意を表す時、また勝負に勝った時に(おおぜいで)唱える言葉
★『万歳(まんざい)』
普通、二人連れで年の初めに家の前に立ち、
烏帽子姿でつづみを打ち祝いの言葉を述べ滑稽なしぐさで
舞をして金銭をもらい歩く者(万才とも書く)
三河万歳(万才)がよく知られている
★『漫才(まんざい)』
『万歳(まんざい)』から変化したもので、
二人でおかしいことをまじめくさって
言い合いながら客を笑わせる演芸
言葉の変化っておもしろいものですね。
今回は久しぶりに辞書を引っ張りだしてきて
(ホコリをかぶってしまっていました)調べました。
いつもは手近なネットを使っての調べものですが、
たまにはゆっくりと辞書の重みを感じるのもいいですよ。
ともあれ、書類などに書く時には、
これからは略字ではなく本来の正しい漢字を
書くように心がけたいものですね。
そうそう、一ヶ所の〔ヶ〕も〔箇〕の略字ですよ。
気をつけましょうね。
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